博多住吉通信

ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

イスラエルの拡張主義と、それが抱える矛盾


(昨日の続きです)
 さて多くのイスラエル国民に懸念を抱かせつつも、ガザ地区ヨルダン川西岸のパレスチナの民の殺戮と迫害を続けるネタニヤフ政権ですが、彼らを衝き動かしている原動力は何なのでしょうか?それは究極には古代イスラエル王国の復活にあるようです。この古代国家の版図は、現在のイスラエル国家の中央部と北部、そしてヨルダン川西岸を含んでいました。ちなみにガザ地区は版図外でした(上の図がそれです wikipediaから引用させていただきました)。
 この目論見については、中東問題に素人のブログ主よりも多くの有識者が的確な論評を公表されていますので、そちらをご参照いただいた方が良いと思います。例えば東洋大学薬師寺克行教授の「イスラエルが抱える『最大の矛盾』が招いた悲劇-ユダヤ人国家と民主主義国家は両立できるのか」(東洋経済オンライン10月25日掲載)(注1)は非常に興味深い論点を展開されています。薬師寺教授は、もしイスラエル拡張主義者が、その目論見通りにヨルダン川西岸地区ガザ地区イスラエル領土に飲み込んだ場合何が起こるかということです。その場合、イスラエル国家は700万人に達するパレスチナ人をイスラエル国民として迎えることになります。現在のイスラエルの総人口は約940万人です。つまりパレスチナ人の方がイスラエルの多数派になってしまうのです。イスラエルは議会制民主主義国で、共産党労働党などの左派政党も存在する国です。そのことがイスラエル国家の国際社会、取り分け欧米諸国から正当性を認められる根拠の一つとなっているのですから、その原則を自ら崩すわけにもいかないと思われます。ですからパレスチナ人の参政権を認めないといったアパルトヘイト(人種差別)政策をとることもできないはず(注2)ーこのようなジレンマにネタニヤフ政権は直面しています。
(注2)ネタニヤフ政権は、この基本原則を掘り崩すような法律を2018年に制定しているそうです。「基本法ユダヤ国家法」がそれで、イスラエルという国を「ユダヤ人の民族国家」と規定し「イスラエル国における民族自決権の行使はユダヤ人のみによっておこなわれる」とした。そしてヘブライ語を唯一の公用語とし、それまでヘブライ語とともに公用語だったアラビア語公用語から外したというのです。つまりイスラム教徒やキリスト教徒のパレスチナ人を国民として認めないという公然としたアパルトヘイトに見えるという危険性が存在しています。ちなみに「基本法」とは憲法に相当する法律です。